ある詩人が見た夢
人影は夢のように消えていった
命は砂のようで魂は不滅かもしれない
はじめに言葉が消えていった
つぎに家族の話し声が消えていった
つぎに君と歩き慣れた街が消えていった
つぎに佇んでいた風景が消えていった
最後に僕の影が消えていった
目を開いて周りを眺める
透き通るように青く澄んだ空の下に
ぽつんと立っているけれど
背の高い壁に囲まれて
ここから外に出られないようだ
この中には誰もいない
時が流れているだけ……
僕は年老いてゆくだろう
情熱はいつまで続くだろうか
希望は、夢は、絶望もある確かに
もう夏が過ぎようとしている
背の高い白い壁に囲まれて
僕は風になびく草原の息吹に耳をすませ
青く晴れた空を見つめた
風が強くなってきた
うしろに見える大きな白い塔は
僕を中に入れてくれるだろうか……