救済詩 『石占い』 by KAINEL

石占い

小石を一つ乗せてみた
鬱蒼とした薄暗い未来に
小石を一つ乗せてみた
暗闇に怯える人々の胸に
小石を一つ乗せてみた
目の前に広がる漠然とした孤独に
小石を一つ……

危うい均衡を保っている小石の塔
幸福と不幸を互い違いに積み重ねていく

小石を一つ置いてみた
荒れ狂う嵐を呼び起こす雷鳴に
小石を一つ置いてみた
白い羽を引き裂かれた天使の唇に

小石を一つ置いてみた
高鳴る鼓動に突き動かされた衝動に
小石を一つ……

危うい均衡を保っている小石の塔
明と暗を互い違いに積み重ねていく

宙に浮んだ記憶の迷宮
夥しい数の悪夢が空を埋めつくしても
心の中に広がる青空は誰にも奪えないと信じてた

小石を一つ乗せてみた
二つに分かれた道の手前で
小石を一つ乗せてみた
必然と運命が僕を見つめている
小石を一つ乗せてみた
幸福と不幸が未来をじっと見つめている
小石を一つ……