救済詩 『夏に』 by KAINEL

夏に

夏に生まれました
初夏ではなく、蝉の鳴く暑い夏に
小川のせせらぎが、耳の奥で心地よく響く夏に
あの晴れた日に

風鈴の音
鮮やかな赤と黒の模様の金魚
青空に映える入道雲
透き通るような澄んだ空気
素肌に照りつける心地よい太陽の光

僕が生まれたのはそんな夏でした
アスファルトに浮かんで揺れる蜃気楼に
なぜか心が弾んで、歩く足を早めた
昼下がりの午後でした

鬱蒼とした背の高い木々から
蝉の鳴く声が、耳にうるさいくらいに響く
暑い夏でした