救済詩 『非常階段』 by KAINEL

非常階段

どこでも駆け上がる
くたくたになるまで駆け上がる
地上の世界が見えなくなるまで
いや君の姿が見えなくなるまで
どこまでも続くこの鋼鉄でできた階段
こんなに心臓が破裂しそうなのに
この足は走ることをやめない
ガラスでできたビルは高く
いまでも成長を続けているガラスの生き物
胸が苦しい血が沸騰している
水蒸気のようにからだが軽い
鉛のようにからだが重い
突然襲った嘔吐に混ざっていたものは
意味不明な意識の塊だった