救済詩 『その本当、その真実』 by KAINEL

その本当、その真実

人間の敵は、人間だったという皮肉
人間の敵は、人間だったという、この矛盾
遥か昔から、考えるまでもなく導きだされてきた
受け入れがたくも、受け入れなければいけない、その逆説

これは悪い夢なのか、悪い冗談なのか
できればそう思いたいと、何度思ったことか……

僕の敵は、君だったという悲劇
君の敵は、僕だったという喜劇
ずっと前から、悩むまでもなくそこにあった
目をそらしたくても、そらすことのできない、その無常

ああ、これは悪い夢だと、悪い冗談だと
何度そう思いたかったことか……

できれば気づきたくなかった
気づいても、気づかない振りをするべきだった
その現実に、その事実に、その本当に

人間の敵は、人間だったという不条理
人間の敵は、人間だったという、この苦しさ
遥か未来まで、変わることなく
忘れたふりをしても、ぴったりとそばに寄り添っている、その真実