夜の底へ
夜が堕ちてくる
この胸に堕ちてくる
孤独で寂しい心に堕ちてくる
沈黙した悲しい心に満ちてくる
湖のほとり
青い月の夜の底
魔女の言葉が耳に響く
――ここから出ていくのかい?
――まだここにいるのかい?
立ちこめる月の光
咲き乱れる銀の花
――ここから出ていくのかい?
――まだここにいるのかい?
魔女の声が木霊する
青い月の夜の底
揺れ動く銀の花
僕は思いを巡らせる
ここではないところへ
ここではないどこかへ
行けることができたなら……
僕は声もなく
そう言った
そう叫びながら
夜の底へ堕ちていった