救済詩 『夜の底へ』 by KAINEL

夜の底へ   

夜が堕ちてくる
この胸に堕ちてくる

孤独で寂しい心に堕ちてくる
沈黙した悲しい心に満ちてくる

湖のほとり
青い月の夜の底

魔女の言葉が耳に響く
――ここから出ていくのかい?
――まだここにいるのかい?

立ちこめる月の光
咲き乱れる銀の花

――ここから出ていくのかい?
――まだここにいるのかい?
魔女の声が木霊する

青い月の夜の底
揺れ動く銀の花
僕は思いを巡らせる

ここではないところへ
ここではないどこかへ
行けることができたなら……

僕は声もなく
そう言った
そう叫びながら
夜の底へ堕ちていった