救済詩 『Silence in Stillness』 by KAINEL

Silence in Stillness

夢、幻、沈黙と静寂
夜の底に溶けてゆく月の破片に
青白く光る涙がきらめいて

その目からあふれでてくるのは
狂気、芸術、苦悩と愛
理性、欲望、罪と悲しみ

その口からもれてくるのは
堕落、退廃、美と幻想
許し、贖い、死と救い

わたしは天を仰ぎみている
刹那と永遠が混ざりあい
破壊と創造が抱きあう空に向かって
そう、仰ぎみている

妖しく光る月光より
艶やかで美しかった顔も身体も
いつのまにか消えうせて

すりきれた心だけが
まるで死んだ小鳥の亡骸のように
手のひらに残った

夢、幻、沈黙と静寂
ただそれだけが欲しかった
それだけを求めていた

わたしは手をのばす
無限と極限が溶けあい
輪廻と転生が貪りあう空に向かって
そう、手をのばしている