救済詩 『千年後……』 by KAINEL

千年後……

遥か以前に夢見た理想郷は
もう瓦礫の下に埋もれてしてまって
電子の花が咲き乱れていた
あのきらびやかな摩天楼は
今では、おとぎ話にでてくるだけで

人間の栄光とは、英知とは?
話せば長くなるばかり
思えば悲しくなるばかり

太陽の日差しが高くなる頃
世界は希望に輝いて
叶わない夢はないと思っていた
そう思い込んでいた

そして……太陽も沈まないと思っていた
そう、あの時がくるまでは

それは音もなく静かにやってきて
みんなに終末をもたらした

かつて、ここには神をもしのぐ文明があって
夥しいほどに無数の人々が、生きて愛し合って
芸術やら音楽やら文学を楽しんでいた

砕け散ったガラスの破片
ひび割れた地面のアスファルト
朽ち果てた高層ビルの群れ

ひっそりと沈黙した都市に
ぼんやりと浮かぶ満月
誰もいない海岸に打ち寄せる波
点々と灯る命の残り火

かつて、世界は希望に輝いて
叶わない夢はないと思っていた
遥か永遠に続く物語だと信じていた
それがただの幻想であることも知らないで……