救済詩 『君と僕と死について』 by KAINEL

君と僕と死について

僕達は遥か遠い未来に出会うだろう
終末の叫び声がだんだん近くなる
僕は君と出会うために
全てを捨て、全てを失い
魂も商人に売り渡してしまった

僕達は遥か遠い過去に会っているだろう
まぶしいほどの太陽の光が降りそそぐ
あの夏の日の
君の優しい微笑みを僕は忘れない
君のさしだしだ手のひらは暖かく
僕は君のことを……

僕達は遥か遠い未来にまた殺しあうだろう
君への愛は憎悪に変わり
僕は君の全てを奪い燃やし尽くすだろう
そして、最後にかわす口づけは
甘い果実の匂いがするだろう

僕達は知っている
狂おしいほどの二人の記憶も
憎しみも嫉妬も狂気という愛も
手のひらからこぼれてゆく砂のように
さらさらとかすかな音を残していくだけなのを……

僕達は待っている
僕達が手したナイフが
海中深く沈んでいく寂しい涙のように
嘆き悲しむ声も上げられないまま
その胸を貫いていくことを……