救済詩 『舞台』 by KAINEL

舞台

美しき女庭師、足元のあなた
薄曇りの柔らかな空の下で
なぜそんなに楽しそうに、遊んでいらっしゃるのです?
幕の向こう側のざわめきが聞こえないのですか

こちらときたら
悲劇の予感と焦燥と
運命の歯車がきしむ音に
心をかきむしられる有り様なのに

それにもう、舞台の幕が上がろうとしています
主役はもちろん、あなた達に決まっていますが、
どうか、道化の役だけはいつも通り私にお任せください

勘定高い商人でも、傲慢な王様でも、気のふれた娼婦でも、
けちな盗人でも、残酷な殺人者でも、権威をかざす聖職者でも、
神様から見放された人間の役なら、本物と寸分違わず演じてみせます

さあ、元気よく舞台に上がっていきましょう
主役はあなた達にお任せします
私はすぐ隣で、大声で嘆いたり、罵ったり、悔やんだり
それから遠く離れた所で、叫んだり、苦しんだり、立ち止まったり
運命に翻弄される人間の役を、おもしろおかしく演じますから

主役はあなた達にお任せします
悲劇の幕が上がり、やがて静かに閉じるまで
楽しんで演じてくれればいいんです
私はその周りで、また……