救済詩 『背神』 by KAINEL

背神

血に飢えた白い薔薇に
真紅の血をそそいだ
花びらに
花弁に
一滴、一滴と……

のどを枯らした
白い薔薇はうっとりと
そそがれる血にまみれて
無邪気な微笑みで
うまそうに舌を絡ませた

錆びついた十字架
私だけに罪を押しつけて
去っていった救世主
背中に刻んだ罪の刻印が
またうずきはじめている

烏が
泣き叫ぶ天使達が
獲物を食い千切る魔物が
幾重にもうごめいて
声をあげた

祝福されることのない
神々の双生児
口にくわえた生贄の血が白い花びらを濡らす
一滴、また一滴と……
したたり落ちる血はすぐに
黒い血に変わってしまった