救済詩 『灰色の空』 by KAINEL

灰色の空

灰色の空は、夢の中では青色と虹色
孤独な影に身を震わせ
不条理な契約を交わした僕は
霧のたちこめる黒い池に
寂しい心を浮かべた

鬱蒼とした草むらをかきわけて
ここまで来たのに
足元にまとわりつく冷たい手を振りほどいて
ここまで来てみたのに
血色の雲が空を燃やしはじめている
死色の雲が真っ黒い闇を吐き出している
頭の奥で餓鬼みたいな人間がじっと僕を睨んでいる

闇色の空は、心の中では血色と死色
人を欺くのは蝶の化身
うまそうに獲物の血をなめている
白い猫の舌がきれいだ
黒い池に埋もれてゆく右手
疲れを知らない無知な感情の首をつかみ
うらめしそうに沈んで消えた

霧の向こうで白い影が
ぼんやりと手をふっている
そっと手招きしている
じっと僕を見て
そっと手招きをしている