救済詩 『ソドム』 by KAINEL

ソドム

湿った鱗を光らす蛇のように
冷たい石の隙間から舌を出すトカゲのように
背中の暗闇から、妙に若作りした女が這い出してきて
うつろな目をぬらして大きな口を開けた……

それはいつもの儀式
不条理な欲望と渇いた肉体の儀式だ
先の割れた舌からたれ流される毒薬
体中を心地よく痺れさすどろどろした甘い液
僕はまるで飢えた赤子みたいに
うまそうにのどを鳴らしてその毒を飲み干す

至上最悪なこの場所
人間の抜け殻だけがうごめく腐食の都市
僕は不自由な心をもてあまし
何の抵抗もしない
ここには時間がない
ここには過去がない
人間の魂がさまよう牢獄

――ただ、いつも気づいていた
――ずっと前から分かっていた
僕はここでしか生きられない、悲しい生き物であることを……

震えているのは自分自身で
這いつくばりのたうち回っているのは
哀れな自分自身で
ネズミや虫の餌になるのは
動かなくなった僕であることも