救済詩 『死月』 by KAINEL

死月

遠くで聞こえる笛の音に
耳をすまして
そっと耳をすまして

この物憂い思いをかさねよう
白く輝くあの月に
静まりかえる森の匂いに
きらめく星の瞬きに

死月が照らす蒼い光で
孤独な影は自由になれる
遠くで聞こえる笛の音で
憂鬱な影は微笑んだ

ああ―――
罪は清められ
そう―――
感情は浄化されてゆく

もう意識の入り込む余地もなく
まるで生まれる前の生命のように

静まりかえる森の匂い
きらめく星の瞬き
白く輝く死月の光

誰かが誘っている森の奥へと
誰かが誘っている森の奥から

残酷なほどに
無残なほどに
千切れるほどに
悲しく憂鬱で救いもない
死月の夜に