死月
遠くで聞こえる笛の音に
耳をすまして
そっと耳をすまして
この物憂い思いをかさねよう
白く輝くあの月に
静まりかえる森の匂いに
きらめく星の瞬きに
死月が照らす蒼い光で
孤独な影は自由になれる
遠くで聞こえる笛の音で
憂鬱な影は微笑んだ
ああ―――
罪は清められ
そう―――
感情は浄化されてゆく
もう意識の入り込む余地もなく
まるで生まれる前の生命のように
静まりかえる森の匂い
きらめく星の瞬き
白く輝く死月の光
誰かが誘っている森の奥へと
誰かが誘っている森の奥から
残酷なほどに
無残なほどに
千切れるほどに
悲しく憂鬱で救いもない
死月の夜に