救済詩『東京の夜』by KAINEL

東京の夜

立ち並ぶビル
灯りのついた
音のない
静かな部屋

誰もいない通路
乗る人のいない
薄汚れたエレベーター
冷たい空気

鍵のかけられた窓
曇りガラス
閉めかけの
レースカーテン

踏切の音
見下ろせば
線路を軋ませて
駅に近づいていく電車

街の雑踏
行き場のない魂
帰る場所のない身体
静かな室内