救済詩 『夢の匂い』 by KAINEL

夢の匂い

夢見た夢は、はるか遠くなって
愛した愛は、濃い霧につつまれて
生きてきた生は、まだ道に迷って

夢見た夢の匂い
愛した愛の手ざわり
生きてきた生の足跡

春、甘い花びらの匂い
夏、輝く太陽の匂い
秋、孤独な街路樹の匂い
冬、凍てつく白い空気の匂い

夢見た夢は、夢見たままで
愛した愛は、なつかしく響き
生きてきた生は、まだ道の途中で

なにひとつ……
そう、なにひとつ……