救済詩 『幻影と……』 by KAINEL

幻影と……

散りゆくリラの花びらに
すけてみえる
孤独の影、夕暮れの景色

耳をなでる柔らかな風
幻詩の歌に耳をすませば
赤い雲ににじむ囁き声

幻と夢と
刹那と幻想の迷宮に
また夜が訪れて

こうしてもうずっと
自分によく似た幻影と
ここで暮らしている

ざわめく肌
背徳と退廃の迷路に
迷い込んだまま

静かな思いに
恋こがれて