救済詩 『世界の片隅で』 by KAINEL

世界の片隅で

飢えた鬼がうろつく
荒涼とした大地で
逃げまどう人の群れ

僕はそんなところで
ふと目を覚ました

紅色の雲が渦巻く憂鬱な空
赤茶けた乾いた大地
肌をなでる生あたたかい風

僕が目を覚ましたのは
そんなところだった

泣き叫ぶ悲鳴
牙を剥く咆哮
人が人であることを忘れた世界

やっぱりな……
僕は苦笑いをして
ぐるりと周りの景色を眺めた

血と肉の焦げる匂い
飢えた鬼は狩りに夢中で
獲物の群れは逃げ惑うばかりで

紅色の雲が渦巻く憂鬱な空
赤い太陽が沈んでいく
低い地鳴りの音とともに

やがて
月の光が白く輝く夜の空
水鏡に映る我が身の姿
こぼれ落ちる涙の軌跡

ああ、そうしていつのまにか
僕も人であったことをすっかり忘れて
飢えた鬼に追いかけられるのだろうか
この殺風景な世界の片隅で……