救済詩 『美しい夜に咲いていた桜』 by KAINEL

美しい夜に咲いていた桜

静かな夜
僕は誰もいない歩道を歩いていた
目の前にはずっと先まで
道に沿って桜の花が咲いていた
蛍光灯の明かりに照らされて
寂しそうに咲いていた

こんな綺麗な夜に
こんな孤独な真夜中に
桜が咲いている
こんな救いのない夜に
桜が咲いているんだ

希望を持て
前進しろ
後ろを振り返るな
失ったものは帰っては来ないのだから
忘れるんじゃない
捨てるんじゃない
置き去りにするんじゃない
もっと静かで、穏やかで、寂しいことなんだ
悲しくて、つらくて、苦しいものなんだ

だから
忘れるんじゃない
憎むんじゃない
嘆くんじゃない
泣くんじゃない

黒い夜が落ちてくる
壊れそうな心に夜が忍びこんでくる
明日は何があるだろう
今日と変わり栄えしないだろう
幸せな気持ちなんて
つかの間の出来事なのか

孤独も、悲しみも、言ってはいけない言葉
美しい、みんな美しい
この夜も、あなたも、私も、この世界も
ああ、美しい、みんな美しい
この夜に消えてみたい