美しい夜に咲いていた桜
静かな夜
僕は誰もいない歩道を歩いていた
目の前にはずっと先まで
道に沿って桜の花が咲いていた
蛍光灯の明かりに照らされて
寂しそうに咲いていた
こんな綺麗な夜に
こんな孤独な真夜中に
桜が咲いている
こんな救いのない夜に
桜が咲いているんだ
希望を持て
前進しろ
後ろを振り返るな
失ったものは帰っては来ないのだから
忘れるんじゃない
捨てるんじゃない
置き去りにするんじゃない
もっと静かで、穏やかで、寂しいことなんだ
悲しくて、つらくて、苦しいものなんだ
だから
忘れるんじゃない
憎むんじゃない
嘆くんじゃない
泣くんじゃない
黒い夜が落ちてくる
壊れそうな心に夜が忍びこんでくる
明日は何があるだろう
今日と変わり栄えしないだろう
幸せな気持ちなんて
つかの間の出来事なのか
孤独も、悲しみも、言ってはいけない言葉
美しい、みんな美しい
この夜も、あなたも、私も、この世界も
ああ、美しい、みんな美しい
この夜に消えてみたい