救済詩 『道化の契約』 by KAINEL

道化の契約

猥雑で、複雑で、混沌とした世界
解き放とう
自我を、意識を、縛りつけるもの全て

YHWH……………

宿命と本能と愛欲に
もだえて、窒息して、苦悩して、溺よう

あの時交わした契約の意味
そんなもの忘れてしまった
呪いの刻印を背中に焼き付けられて
身動きがとれない
背徳に舌を絡ませて
ただ、思い切り突かれているだけなんだ

甘い契約
こんなことになるなんて
安っぽいこの命じゃ
どうしようも出来ない
血の一滴にもなりやしない
やっと解かった気がする

あいつは最初から知っていたんだ
黒い髪と赤い目で
退屈な道化の芝居を
すぐ側で見ていたんだ
天使の羽でつくった靴を履いて
その心臓を食べながら
笑って見ていたんだ