救済詩 『聖なる傷跡』 by KAINEL

聖なる傷跡

まだ癒えていないような
深い傷が痛む

真っ赤な血はでないけれど
ずきずきと脈打つ
鋭い痛み

幻じゃない?
思い込みじゃない?

冷たい肌を切る
深い傷の痛み

それが、
手のひらにひとつ
足首にひとつ
脇腹にひとつと、あらわれてくる

幻なのか?
思い込みなのか?
この傷が見えるのは……

もう消えてしまったと思っていたのに
もうなくなったと、思っていたはずなのに……