救済詩 『憂鬱な蟷螂』 by KAINEL

憂鬱な蟷螂

胸が揺らめく
欲望と嫉妬への気持ちが高鳴る
八つ裂きにしたいほど狂おしい熱情
湿った肌によだれを垂れ流す

闇の亡者、黒服の落武者達
ヴェールに隠れた美しい顔の女
なぜか今気持ちが高ぶっている

破裂した内臓を食べる少年
血の池に身を投げる少女
仏陀は眠たそうにちらと僕を見た
キリストは磔にされ身動きがとれないようだ
アッラーは黒い箱の中に入ったきり姿を見せない
森の精は陰気な歌をさえずっている

愛は人を裏切るために嘘をつく
憎しみは美しく孤独の扉を開いてゆく
這いつくばりのたうちまわる輪廻の運命
呪いの言葉は沈黙の炎をたぎらせる