柔らかな夜
しめやかな夜に響く
凛々しくて、悲しくて、たどたどしくて
痛くて、気高くて、自虐的で、救いのない歌声
胸の奥から聞こえる魂の咆哮
赤い衣をまとった呪われた生きもの
鋭い爪がさっと光って、赤い線ができた
もう、あの自由には帰れない
もう、あの気高さには戻れない
溢れだす赤い雫が大地に吸い込まれていく
鋭い牙が震える肉を咬みきって
剥きだしの心臓に狙いをさだめる
高鳴る鼓動は早鐘のようだ
剥きだしの魂が叫び声をあげている
見せかけの永遠が手招きをしている
もう、あの自由には帰れない
もう、あの気高さには戻れない
柔らかな夜が降りてくる
苦悩と憂鬱の幻影が辺り一面に広がって
黒い生きものが真紅の花を咲かせた
柔らかな夜が落ちていく
予兆と予感の幻影が僕を惑わせて
黒い生きものが僕の身体と魂に……
もう、あの自由には帰れない
もう、あの気高さには戻れない
もう、あの自由には帰れない
もう、あの気高さには戻れないんだ