救済詩 『天界』 by KAINEL

天界

ああ、天を見上げれば
この心も少しは明るくなりそうだ
夜道を歩く僕の足は、
少しだけ軽い

長い間考えていた事
答えも見つからないまま
もうすっかり大人になってしまって

一日が過ぎて
一ヶ月が過ぎて
いくつもの季節が過ぎて
思い出すことが多くなって……

星の瞬き
蒼い夜に浮かぶ月のまどろみに
寄り添う寂しい魂
遠くで光る雷鳴とあたたかい雨

てのひらに幻の蝶が
そっと舞い降りる
指先で燃える命の炎が
頼りなげな影をゆらす

死の底から見える
楽園みたいな天界は、
夢のまた夢
幻と影のおとぎ話

ああ、ここからでもそれを眺めれば
この心も少しはやさしくなれそうだ
夜道を歩く僕の足は、
少しだけ軽い