救済詩 『神と表象』 by KAINEL

神と表象

私達の神を信仰しなくなれば
私達の神は消滅するのでしょうか
それとも、認識されなくなるだけなのでしょうか

私達の神を信仰しているのは
私達だけなのでしょうか
それとも、全ての理性に信仰されているのでしょうか

あなたは姿を変え、形を変え
私達の前に現れては消えていきました
誓い、契約、犠牲を残して……

――わたしは人間だけに作用するのではない、それは自然物全てに等しく作用する――
あなたは確か、そんな事も言っていました
ずいぶん遠くから聞こえてきた声でしたが……

あなたはなにも言わず、ただ見ています
つりあいのとれない善と快楽の天秤を
不安定に揺られ揺られて、必死で日々を生きる私達を
あいまいな救済の手がかりを、死に物狂いで探し続ける私達を

ただ私達は、ぼんやりと分かっているのです
私達の信仰する神は、あなたの残り火にすぎず
私達が誓いをたてる神も、あなたの残像にすぎず
私達が祈りを奉げる神も、あなたの表象にすぎないことを!