救済詩 『SAKASHIMA』 by KAINEL

SAKASHIMA

夢の夢
そのまた夢の夢
さかしまの宴

盛装の犬男爵が笑う
三本足の伯爵夫人が華麗なドレスをひるがえす

その汚れた
その汚れ無き精神

その祈り
その贖い
その沈黙
その静寂

人工の夢
その光、その暗闇
その無垢な精神

盛装の犬男爵が踊る
三本足の伯爵夫人が華麗なドレスをひるがえす

煉獄の天使が吹き鳴らす笛の音
月光に浮かぶ古城に響き、響きわたれば
明日のことなど溶けてしまいそう

今夜の生贄はとびきり綺麗な生きもの
震える肌青ざめた顔が欲望を誘い、駆りたて
とてもとても狂おしい

髪を振り乱し犬男爵は牙を剥く
伯爵夫人のドレスに飛び散る叫び声
笑いあう二人の揺れる影

さかしまの夢
そこに陰る刹那と退廃
そこに宿る神と孤独