救済詩 『聖なる……』 by KAINEL

聖なる……

観衆の罵声が耳にこだまする
ののしる声が広場に響きわたる
何の罪で囚われたのかも知りもせずに

皮膚一枚の憎しみ
薄皮一枚の嫉妬
畏れ、救い、孤独と

鋭い切っ先が背中に触れる
鎖に繋がれた体を引きずって
私はせかされるように歩いていく

熱く鼓動する精神は、何にもまして
迷いなく気高く高潔で
煮えたぎる憎悪は、何にもまして
浅はかで壊れやすくて

怒号が耳の奥でこだまする
押しつぶされた人々の顔がゆがんで
大きく口を開けた群集が真理に食らいついて

皮膚一枚の喜び
薄皮一枚の幸福
祈り、贖い、悔恨と

群集は、それぞれ顔は違うのに
なぜか同じ目をしていて
仕掛けた罠にかかる獲物を
嬉々として待っているような表情だ

鋭い切っ先が背中に触れる
鎖に繋がれた体を引きずって
私はせかされるように歩いていく