救済詩『見知らぬ僕』by KAINEL

見知らぬ僕

僕を知りませんか
少し目を離した隙に
どこかに行ってしまって
まだ近くにいるはずなのに

ええ、
はじめはそう思ったのですが
鏡に映った顔を見てみると
やっぱり違うのです

ええ、その通りです
僕が僕でないなんて
そんなことはありえないことです
けれど、やっぱり僕じゃないのです

視線を合わせても
まるで他人を見ているような
僕ではない僕が
不思議そうに沈黙しているのです

きっと鏡の中の僕も
そう思っているに違いありません
見知らぬ僕が僕を見ているので
戸惑っているのかもしれません

教えてくれませんか
僕はどこにいるのでしょうか
もうここにはいないのでしょうか
僕が不思議そうに僕に問いかけた