救済詩 『逢魔時に』 by KAINEL

逢魔時に

黄泉の国で
もう一度会いましょう

睡蓮がうたうたと
浮かんでいる泉のほとりで
ほたるが宵闇を彩り
鵺がにび色の夕山をかけていく
たそがれ時に

死んでいくのは必然か
それとも偶然か

あなたがこたえてくれるわけもなく
ぼくがこたえられるわけもなく……

さしだした手のひら
もうずいぶん長いあいだ
冷たくなっています

生まれてきたのは偶然で
生きてきたのは必然で

ほたるがぽうっ、ぽうっと
消えたりあらわれたり舞う空は
華やかな花火のようで
穏やかな水面を
静かに照らしていきます

ほのかな匂い
睡蓮のはなびら風に揺られ
そらに散りゆき
花ひらく黄泉の国