救済詩 『救済詩』 by KAINEL

救済詩

あなたとも、
これでお別れですね
振り返ってみると
生まれてから死ぬまで
一瞬のようでもあり、
千年のように長い月日のようにも感じられます

今、ここを去る前に
あなたに何か話そうと考えたけど
あまり思いつきません
たぶん、何も言いたくないのかもしれません

あなたが私に与えてくれたものは
あまりにも多すぎたので……
苦悩とか、憎悪とか、殺しとか、嫉妬とか、怠惰とか、地獄とか、
幸せとか、悩みとか、痛みとか、愛とか、欲望とか、犠牲とか、
不満とか、暴力とか、芸術とか、愛されない苦悩とか、科学とか、
宗教とか、争いとか、無視とか、軽蔑とか、犯罪とか、牢獄とか、
無力とか、平和とか、親とか、家族とか、子供とか、愛しい人とか……

みんな、灰になって消えていきます
みんな、空に散っていきます

あなたの救いも教えも戒律も手の届かない
意味を持たない世界へ
わたしは一人で旅立ちます

私は炎に焼かれ灰になり
ひょっとするとあなたより
崇高な存在になれるかもしれません

お別れですね
どきどきするのです
本当にどきどきするのです
けれど、私は一体どこへ行くのでしょう?
ただ消えてなくなるだけなのでしょうか

最後に、救いでもなく、祈りでもなく、
あなたに思惟してほしいのです
一つの命が消える時に祝福を!
一つの命が散るときに祝福をと!