救済詩 『道化の契約』 by KAINEL

道化の契約

いつしたのか
どこでしたのか

真夜中
眠る家族を背に
うつろに
ひとり起きあがる

居間へ続く階段
一段、また一段と
降りるたび

胸に刻まれた
奇怪な紋章が
疼きだす

暗闇に浮かぶ室内
細い蠟燭の炎に
ゆらゆらと
揺れる影

思い出したいのか
思い出したくないのか
それとも
思い出せないのか

逃れることのない
呪わしい夜
時を刻む音が
奇妙に歪んで

天使の羽でつくった
靴を履いて
その魂を握りしめて
笑っていた

赤い瞳の
艶めいた黒髪の魔物に
言われるがまま
道化の契約とも知らずに