救済詩『いつまでも』by KAINEL

いつまでも

いつまでも
いてほしいと
思っていた

いつかは
離れていくと
感じながら

いつまでも
いてくれると
思っていた

いつかは
終わりがくると
気づきながら

いつまでも
続いていくと
思っていた

永遠の意味も
よくわからずに

救済詩『この私にも』by KAINEL

この私にも

この宇宙に愛は必要か
そして、
この私にも

この星に神は必要か
そして、
この私にも

この世界に奇跡は必要か
そして、
この私にも

この国に希望は必要か
そして、
この私にも

この地に幸福は必要か
そして、
この私にも

この街に悲しみは必要か
そして、
この私にも

救済詩『望郷』by KAINEL

望郷

いつも思うのは
夕日に染まる
なだらかな山の姿

そこには
一日の終わりと
明日への憧れと

夕焼けの空
群れになって
森に帰る烏

広がる田畑
山の影に隠れて
静かになって

そこには
いつも手を振って
見送ってくれた
母がいて

いつも笑顔で
待っていてくれた
母がいて

救済詩『東京の夜』by KAINEL

東京の夜

立ち並ぶビル
灯りのついた
音のない
静かな部屋

誰もいない通路
乗る人のいない
薄汚れたエレベーター
冷たい空気

鍵のかけられた窓
曇りガラス
閉めかけの
レースカーテン

踏切の音
見下ろせば
線路を軋ませて
駅に近づいていく電車

街の雑踏
行き場のない魂
帰る場所のない身体
静かな室内