救済詩『迷い子』by KAINEL

迷い子

飼い主とはぐれた
怯えた目の痩せた犬
街の片隅
吠えているの?
泣いているの?

飼い主と別れた
不安な目の白い猫
路地の片隅
鳴いているの?
泣いているの?

飼い主から逃げた
迷路に迷う人
街の片隅
叫んでいるの?
泣いているの?

そして、僕も
犬や猫や人間みたいに
吠えたり
泣いたり
叫んだり
泣いたり

見えない飼い主
かたちがあったり
なかったり
優しかったり
冷たかったり

救済詩『ある夜の思い出』by KAINEL

ある夜の思い出

年の終わり
今年の仕事を終えて
ささやかな晩餐が始まる

そこには
言葉ではいえない
ささやかな充足と
なんともいえない
安堵と満足と

運ばれてくる
さまざまな酒や料理
ぎこちない笑いで
飲んだり、食べたり

分かりあえないなかで
分かりあえたような
そんな気持ちを
胸の奥に感じながら

どこにでもある
ありふれた風景
けれど
二度と来ることはない
ある夜の出来事

救済詩『救世主』by KAINEL

救世主

あの人を探してください!
気高く、美しく、
どこまでも優しかったあの人を

あの人を探してください!
悪魔や獣がうろつき回る
呪われた暗闇の中でも恐れなかったあの人を

あの人を探してください!
ぼろぼろに砕け散ったこのからだに、
命溢れる赤い血を注いでくれたあの人を

あの人を探してください!
先の見えない迷路に迷った私を
希望の光が降り注ぐこの場所に導いてくれたあの人を

探して、あの人を探してください!

気高く、美しく、
どこまでも優しかったあの人を
そう、かつて私がそうであったように!

救済詩『プランクトンとクラゲと亡者』by KAINEL

プランクトンとクラゲと亡者

ゆらゆら、ふらふら
プランクトンみたいに
大きな口を開けた亡者が

ゆらゆら、ふらふら
なにかを言いたそうに

ゆらゆら、ふらふら
亡霊のように近づいて
恨めしそうに独り言を呟いた

クラゲみたいに
ゆらゆら、ふらふら
死んだ目をした生霊が
ぞろぞろ歩いている

右手に大切なものなんて
何もないのに……

ゆらゆら、ふらふら
散った葉っぱみたいに
ゆらゆら、ふらふら
クラゲみたいに
右に、左に、上に、下に

こんなにたくさん溢れているのに
実感がわかないんだ……

夕べ泣いていたの?
昨日も泣いていたの?
いつも泣いているの?

ゆらゆら、ふらふら
なにかを言いたそうに

ゆらゆら、ふらふら
亡霊のように近づいてきて
恨めしそうに独り言を呟いた